二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

札所一覧(目次)へ

石井藤吉地内(門前とらや裏)

【札所番号】
いろは大師:第八十三番(香川郡一ノ宮・一ノ宮寺の写)
# ( )内は『御詠歌集』に従っています。一ノ宮は一宮村 or 一宮町のことだと思います。一宮で「いちのみや」と読ませたい場合に間に小さなノを添え字として書く場合がありました。

【札所名】石井藤吉地内(柴又七丁目上屋敷

【所在地】

旧地名 葛飾区柴又町
現在の地名 葛飾区柴又7-7-5

【御詠歌(いろは大師)】
いちのみや みやのみまへに あふぎきて かみのこゝろを たれかしかゆふ

【いろは大師、次への順路】
五十番の宝生院へ二丁半# 現在の場所からだと八丁ほどあるので、以前は別の場所にあったのかもしれない。
 

f:id:chinjuh3:20201026125933j:plain
とらや裏の大師堂
f:id:chinjuh3:20201026125924j:plain
南葛いろは大師第八十三番大師像
f:id:chinjuh3:20201026130053j:plain
大心講の旗

 門前とらやというのは柴又帝釈天の門前にある草団子屋さんです。大師堂はとらやさんの裏にあるのですが、参道からは道がないので裏の細い道をくねくね辿らないといけません。最初道がわからなくて、最悪わからなかったらお団子食べて聞こうかなと思ってたんですけど、どうにか到着できました。でもネタ的にはお団子食べたほうがよかったですね。気が利かなくて済みません。

 お堂はお店の方が使う駐車場のようなところにあり、完全に私有地内ではあるので、いいのかな、と首をひねりつつ、心の中でごめんくださいませーと言いながら参拝しました。

 堂内には第八十三番の台座の上に石の大師像が一体あります。いろは大師のお世話をしていた(いる?)大心講の旗も奉納されていました。開講六十年って書いてあるから、1985年ごろのものかなあと思います。


 『御詠歌集』には次の五十番の宝生院まで二丁半とあるのですが、地図で見ると八丁くらいあるので、とらやさんの八十三番か、宝生院の五十番のどちらかが、今とは違う場所にあったのでしょうか。

 ひとつ前の五十八番鷺之宮からの距離は六丁余とあり、地図で見ると、とらやさんのお店の入り口までだったら、たしかに六丁くらいです(裏へ回ってしまうと七丁半くらいありますが)。となると、場所が変わっているのは五十番の宝生院のほうなんでしょうね。

 この札所は昔から私有地で『御詠歌』では「石井藤吉(地内)」とされています。開創間もない頃の地名だと「葛飾区柴又町」、昭和の中ごろの地名だと「柴又七丁目上屋敷」となっています。上屋敷というのがなんなのか、ちょっとわからないのですが、柴又七丁目は帝釈天と参道のあたりなので、昭和の中ごろにはもうとらやさんの裏にあったと思われます。

 やはりお団子食べながら聞いたほうがいいのかも。とりあえず「石井さんっていうのはとらやさんのことですか」とか…?
 

弘法大師 空海 密教