二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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薬神境内(延命寺)

【札所番号】
いろは大師:番外・秘鍵大師

四箇領:第十三番
荒綾:第四十二番

【札所名】薬神境内(延命寺新義真言宗
# 真言宗豊山派とのネット情報もありますが、『葛飾区史』や、延命寺のお坊さんが作ったとおぼしきWEBサイトには新義真言宗とありますのでそれに従いました。

【所在地】

旧地名 葛飾区青戸延命寺
現在の地名 葛飾区青戸8-24-29

【御詠歌(いろは大師)】
すみわたる 心の池の かがみには そのあかつきの 月もうつらん

【いろは大師、次への順路】
四十七番の恵明寺へ十丁

 薬神というのは摩多羅神のことだそうです。延命寺には摩多羅神の像があるそうで、昔から病気快癒の祈願に来る人がおいいんだそうです。摩多羅神は謎の多い神様でいろいろと面白そうなんですが、ここは弘法大師霊場に注目するブログなので「病気を治す薬神(やくじん)様」という事でさらっと流しておきたいと思います。

 やくじん延命寺は南葛いろは大師の番外札所・秘鍵大師であり、四箇領の十三番、荒綾の四十二番でもあります。境内の大師堂にある像はいろは大師のものです。

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延命寺の大師堂と秘鍵大師
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南葛八十八ヶ所秘鍵大師と刻まれた台座

 秘鍵(ひけん)というのは、弘法大師が著したとされる『般若心経秘鍵』のことです。般若心経というお経の解説書ですね。

 その秘鍵を冠した大師像は、お大師様の智慧を形にしたものなのでしょう。文殊菩薩の利剣(智慧の象徴)を持った姿で描かれることが多いみたいなんですが、南葛いろは大師では右手に五鈷杵、左手に数珠といったお馴染みのお姿で刻まれています。

 四箇領と荒綾は、門前に下の写真のような石碑があります。

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四箇領の石碑(左)と荒綾の石碑(右)

 左の大きい方が「四箇領八十八ヶ所」の案内で、「西新井組 延命寺 十三番/四国八十八ヶ所■■■写/従是▲▲▲…」というような文字が読めます。西新井組は四箇領の札所がある中川両岸地域のことっぽいです。■■■のところは大日寺でしょうか。▲のところは次の札所への道案内でしょうか。

 小さい杭状の石碑に刻まれているのは正面中央が「八十八ヶ所第四十二番延命寺」で、その両脇(脇面ではなく正面の両端)にも何か書いてあるのですが、はっきりとは読めないですねー。とりあえず四十二番は荒綾八十八ヶ所の番号です。

 こういうの、実物はもっと読めないんですよね。光の加減でぜんぜん読めないことが多くて、あとで画像処理しようと思って写真を撮ります。帰宅後に写真を見て「あっ、ここにも文字がある!」と思うんですが、木の葉の影になっていたりして、それがどうしても必要な情報ならもう一度行くなんてことも多々あります。今回注目しているのは二系統の南葛八十八ヶ所なので、四箇領も荒綾もついでの情報です。このくらい読めたらひとまずは満足しておくことにしましょう(笑)
 

弘法大師 空海 密教