二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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正蔵院

 上一色正蔵院は、南葛「いろは大師」の第十一、第十八番であり、南葛「南回り」の第五十三番でもあります。また、四箇領の二十三番で、現在知られていない霊場巡りの五十六番でもあります。


【札所番号】
いろは大師:第十一番(麻植郡西尾村飯尾・藤井禅寺の写)
いろは大師:第十八番(勝浦郡小松島町大字田野・恩山寺の写)

南回り:第五十三番

四箇領:二十三番(薬王寺の写)
未知の:五十六番

【札所名】正蔵院(真言宗豊山派

【所在地】

旧地名 江戸川区上一色
現在の地名 江戸川区上一色3-30-17

【御詠歌(いろは大師11,18)】
十一番:いろもかも むひちうどうの ふじゐでら しんによのなみの たゝぬ日もなし
十八番:こをうめる そのちゝはゝの おんさんじ とふらいかたき ことはあらじな

【御詠歌(南回り53)】

【いろは大師、次の札所】
十一番から十八番地蔵堂へ二丁半(現在は11と18は同所にある)
十八番から二十一番・八十八番の妙厳寺へ八丁
# この距離は以前地蔵堂があった場所から妙厳寺への距離です。今は十丁くらいあると思います。

【南回り、次の札所】
第五十四番、細田・東覚寺

当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。

「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。


 『御詠歌集』の「順路」では、十一番と十八番地蔵堂は二丁半(270mくらい)離れていると書かれているのですが、現在はどちらも正蔵院の大師堂内にあります。お堂が施錠されていましたのでガラスの入った格子ごしに撮影しました。

 十八番があった地蔵堂は、次の二十一番妙厳寺への距離が八丁とあるので、正蔵院より北の現在では新中川になっている場所にあったんじゃないでしょうか。南葛いろは大師は大正14年の開創ですが、新中川ができたのは戦後のことです。

 正蔵院は南葛南回りの五十三番でもありますが、扁額などは残っていないようです。

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正蔵院の大師堂
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南葛いろは大師第十一番大師像
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南葛いろは大師第十八番大師像

 また、四箇領八十八ヶ所の二十三番札所でもあります。下の石碑は(文字が見づらいのですけど)四箇領の案内です。四箇領という言葉は出てきませんが西新井組と書かれているのでそれとわかります。

 しかもこれ、別組五十六番とも書かれているので、さらに別の霊場めぐりの札所でもあったようです。日本人はどれだけ霊場めぐり好きなんでしょう(笑)

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正蔵院・四箇領八十八ヶ所の石碑

是ヨリ二十四番江七町
西新井組
二十三番阿波国■■■薬王寺写 正蔵
四国八十八ヶ所霊場
別組
五十六番伊豫国■■■■寺写 ■■

弘法大師 空海 密教