二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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真禅寺

【札所番号】
いろは大師:第三十二番(長岡郡十市村・禅師峰寺の写)

【札所名】真禅寺(臨済宗妙心寺派

【所在地】

旧地名 葛飾区川端
現在の地名 葛飾東立石1-22-3

【御詠歌(いろは大師32)】
しづかなる わがみなもとの ぜんじぶじ うかぶこゝろは のりのはやふね

【いろは大師、次への順路】
三十番の正覚寺へ二丁

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真禅寺の大師堂
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南葛いろは大師第三十二番大師像

 真禅寺は南葛八十八ヶ所いろは大師の三十二番です。堂内には番号の台座に載せられた石の大師像があります。傍らにある厨子には小さな白衣観音のような像が納められていますが、サイズがあっていないので、おそらくもともとの仏像が失われたので代わりに納められているものだと思います。三十二番のオリジナルである禅師峰寺のご本尊様は十一面観音だそうです。

 真禅寺にはとても古い閻魔様(えんまさま)の像があります。『葛飾区史』によれば、天珪仁秀という僧侶が元禄四年(1691年)に箱根温泉で木下川(今の墨田区葛飾区の一部)の農夫と出会いました。農夫は「木下川の隣村に廃寺があり、景色がよくおもむき深いところですよ」というので、仁秀が訪ねてみると、四間四方ほどの四阿(あずまや)があり、風雨にさらされた仏像と、両脇に閻魔王と脱衣婆(だつえば)の像があったそうです。そこで仁秀はお堂を改修して、周囲の土地を買い取って真禅寺を興したと言われています。

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真禅寺・閻魔王と脱衣婆の像
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僧と尼僧?の像

 閻魔王、脱衣婆、その前で手を合わせている僧と尼僧(?)の像はすべて木製で、色あせていますが、とても味わい深くて大好きです。脱衣婆のしわだらけの体や、僧侶たちの着物の流れるようなひだ、強面で厳しい目をしながらも、どこか愛嬌のある閻魔王…見に来るたびにため息が出ます。

 お寺自体はそれほど大きくはなくて、葛飾区内の閻魔堂ならば新小岩の上品寺のほうが有名なのですが、真禅寺はかなーりおすすめです。

弘法大師 空海 密教