二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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八広・正覚寺

【札所番号】
いろは大師:第四十九番(温泉郡大字鷹ノ子浄土寺の写)
#( )内は『御詠歌集』に従っています。#鷹ノ子=鷹子は温泉郡久米村の大字でしょうか。

隅田川二十一ヶ所:第十六番

【札所名】正覚寺真言宗智山派

【所在地】

旧地名 向島区下大畑
現在の地名 墨田区八広3-5-2

【御詠歌(いろは大師)】
ぢうあくの わがみをすてず そのまゝに じやうどのてらへ まいりこそすれ

【いろは大師、次への順路】
六十九番万福寺へ九丁

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正覚寺の大師堂
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堂内の大師像(番号の台座がない)

 八広の正覚寺は南葛八十八ヶ所いろは大師の四十九番札所、のはずです。ただ、こちらの大師像には番号の台座がありません。また像は衣のひだの表現法がやや写実で、ほかの札所にあるのより新しい感じがします。大心講と書かれた旗もなく、南葛の文字もありません。いろは大師の札所だった頃の名残は残っていないようです。お堂自体は昭和59年に再建したものだと書いてありました。

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大師堂脇の石塔

 堂の脇に石塔がありますが、これには「二十一ヶ所大師道」と書いてありました。裏面には「明治四十三年三月」とあります。どうやら近くの宝蔵寺にあるのと同じく隅田川二十一ヶ所の案内みたいですね。この石柱には寺の名前や札所番号がないので、順路になっている路辺に建っていたものだと思います。

 下町タイムス社の『江戸・東京札所事典』によると、八広の正覚寺隅田川の十六番にあたるそうです。

弘法大師 空海 密教