二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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墨田区立花・北向地蔵堂境内(東漸寺)

 墨田区立花の東漸寺は南葛「いろは大師」の第八十五番札所ですが、大師堂はお寺の近くにある北向地蔵堂境内にあります。



【札所番号】
いろは大師:第八十五番(喜多郡牟礼村八栗寺の写)
#( )内は『御詠歌集』に従っています。牟礼村は木田郡でしょうか。

【札所名】東漸寺(天台宗
# 大心講の『御詠歌集』には東禅寺とありますが、誤植だろうと思います。
# 現在は東漸寺境内ではなく、近くにある北向地蔵堂の境内にあります。東漸寺持ちの地蔵堂なのかもしれないですが詳細は不明です。

【所在地】

旧地名 向島区葛西川
現在の地名 墨田区立花6-17-4

#これは東漸寺の住所です。北向地蔵堂墨田区立花6-10 です。

【御詠歌(いろは大師85)】
ぼんのふを むねの智火にて やくりをば しゆぎやうじやならで たれかしるべき

【いろは大師、次の札所】
七十一番明源寺へ十丁



 

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東漸寺

 いろは大師を開創した大心講の『御詠歌集』によれば、いろは大師の第八十五番は墨田区立花六丁目(旧・向島区葛西川)の東禅寺とありますが、おそらく東漸寺の誤植かと思います。

 ただ、大師堂そのものはすぐ近くにある北向地蔵堂の境内にあります。今は敷地が繋がっていたりはしないのですが、たぶん東漸寺持ちの地蔵堂なんだと思います(違ってたらごめんなさい)。

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北向地蔵堂境内の大師堂
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南葛いろは大師第八十五番大師像
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北向地蔵堂。お堂が南を背にして北向きに建てられている。
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堂内の地蔵群。大きなお地蔵様は塩かなにかでこすられたのか下半身が溶けたようになっている。

 お寺は北を背にして南向きに建てるか、西を背にして東向きに建てることが多いです。

 北は天のうちで北極星だけが不動なので(ほんとはちょっとだけ動くんだけど)不動の地位を象徴します。平城京平安京天皇が住む内裏が一番北にあって南向きに建ってるのはそのためです。南向きのお寺は、ご本尊様を何よりも尊いものとして上座に安置しているわけですね。

 西を背にして東向きのお寺というのも沢山あります。この場合だと、おそらく阿弥陀如来が作った国(極楽浄土)が世界のはるか西にあるという思想と関係があるかもしれません。浄土の方角を向いて仏様を礼拝するわけです。

 ただ、例外はあります。たとえば柴又の帝釈天などは東を背にして西向きに建てられています。事情はよくわかりません。「北向」地蔵尊も全国にありますね。

弘法大師 空海 密教