二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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浦安市当代島・善福寺/おまけ:浦安・市川エリアの大師像

 浦安市・善福寺は南葛「南回り」の第六十六番札所です。


【札所番号】
南回り:第六十六番

行徳三十三所:第二十九番(観音霊場)

【札所名】善福寺(真言宗豊山派

【所在地】

旧番地等 千葉県浦安市当代島441
現在の地名 千葉県浦安市当代島2-6-27

#旧番地は『江戸・東京札所事典』による

【御詠歌(南回り66)】

【南回り次の札所】
第六十七番、東墨田・万福寺(萬福寺)
# 南回りは基本番号順まわりなのですが、66から67へは遥か離れていますので注意してください。日を改めてお参りする想定だと思います。

当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。

「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。



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浦安当代島・善福寺の門前より本堂をのぞむ。
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無数の弘法大師像。造立年などは見える場所にはありませんでした。
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鯖大師石像。よく見ると右手に鯖(サバ)を持っている。向かって左の石碑に「鯖大師、大正三年五月吉日」の文字がある。

 善福寺は南葛八十八ヶ所「南回り」の第六十六番札所です。境内に無数の大師像が納められていますが、いずれも南回り固有のものではなさそうです。

○ ○ ○

おまけ:浦安・市川エリアの大師像

 ここらでちょっと、浦安、市川エリアで見た大師像の特徴を書いてみます。

 このあたりは、弘法大師信仰の強い地域のようで、真言宗のお寺には無数の大師像が奉納されていますし、路傍のお堂などにも大師像がありました。いずれも石作りで(あるいはコンクリート製もあるかもですが、正確な見分け方がよくわからないもので)、造立年は見える場所には刻まれていません。

 たまに鯖大師のような立像もありますが、ほとんどの大師像は座像で、下の図のような2パターンありました。

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浦安・市川で見た石の大師像のパターン

 弘法大師像は、絶対ではないんですが、多くの場合、平たい台座に水瓶と靴をレリーフしてあることが多いです。でも、浦安と市川で見た大師像にはそれがなくて、台座には何も刻まれていなかったです。

 平たい台座が地面(またお堂の中に)直置きのケースと、柱状の台座の上に載ってるケースがあって、柱状の台座には何も書いてない場合と、ご詠歌が刻まれてる場合がありました。

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浦安市堀江・宝城寺の大師像
 直置きタイプ。

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市川市新井・延命寺の大師像
 柱状の台座付き。柱状の台座に貼られている白いタイルには、江戸川区の石材店の屋号と電話番号が入っている。電話番号から昭和期のものだとわかる。

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浦安市猫実・花蔵院の大師像
 柱状の台座付き。びっしり並べられているので後列の台座は見えないんですが、前列のものにはご詠歌が刻まれていました。向かって左端の大きな像は、柱状台座の下にさらに台座があり、石屋さんのタイルが貼られている。延命寺のとは違う、浦安や行徳に店が有る石屋さんだった。

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浦安当代島・善福寺の大師像(このページのお寺です)
 直置きタイプです。東京の(というかわたしが良く行く葛飾区・江戸川区あたりのお寺だと)、如意輪観音像なんかは多数あったりするんですけど、弘法大師像ばかりこんなに沢山あるのはあまりみかけないのでちょっと驚きました。

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市川市新井1-15路辺のお堂
 中を拝見したら大師像だったので驚きました。平たい台座の直置きタイプで、台座には何も刻まれていないように見えました。

 東京では、路辺のお堂は地蔵尊馬頭観音庚申塔のどれかが多くて、大師像がある場合はほとんどの場合「八十八ヶ所霊場」か「二十一ヶ所霊場」の札所になってるんです(その場合、台座に番号が刻まれてることが多いですけど、絶対ではありません)。

 それで「もしや知られざる霊場巡り?!」とテンション上がったんですが、宝城寺や善福寺に似た感じの大師像が沢山あるのを見て、いわゆる札所ではなさそうだなと納得しました。

 ただ、いずれも造立年を確かめたわけではないので、作られた時期など一致するかはわかりません。

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浦安市猫実4丁目の庚申堂にある大師像
 このあたりの地理にうといもので、最初は当代島かなと思ったんですが、googleマップによれば猫実の庚申堂だそうです。こちらの大師像は柱状の台座に番号とご詠歌が刻まれています。花蔵院のご詠歌付きの大師像と同じシリーズかもしれません。

 同じシリーズを追って行けば八十八体ありそうだなとは思うのですが、いわゆる「八十八ヶ所霊場」のような札所巡りの像なのかは、ちょっとわかりません。四国へ参拝に行かれた方が一体ずつ納めるケースもあるみたいです。

 それはともかく、こちらの庚申堂はとても立派で、入り口に猿の像があったり、青面金剛像もちょっぴり色っぽい体つきで、庚申堂としても興味深々ですね。スマホのレンズが汗でよごれていたみたいで、写真がイマイチですみません。

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猫実の庚申堂

 

 

弘法大師 空海 密教