二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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南小岩・円蔵院(圓蔵院)

 南小岩の円蔵院(圓蔵院)は南葛「南回り」の第四十二番札所とされています。


【札所番号】
南回り:第四十二番

【札所名】円蔵院新義真言宗
# 『江戸・東京札所事典』では円蔵寺とありますが、実際には院です。
# 『江戸川区史』には真言宗豊山派とありますが、門には新義真言宗掲示されていました。豊山派は「広義の」新義真言宗なので、豊山派と書いたほうが適切なのかな、とも思いますが、ここでは門前に書いてある通りにしておきます。

【所在地】

旧番地等 江戸川区
現在の地名 江戸川区南小岩6-16-28

#旧番地は『江戸・東京札所事典』による
# 旧番地等は昭和51年版の『江戸川区史』に載っている所在地です。江戸川区内は川や道路の工事で大々的に丁目や番地のふりかたが変わるなどしており、昔の資料にあたる時に必要になるかもしれないので書いてみることにしました。

【御詠歌(南回り)】

【南回り次の札所】
第四十三番、江戸川区松本・光蔵寺

当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。

「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。


 南小岩の円蔵院(圓蔵院)は南葛八十八ヶ所「南回り」の第四十二番札所とされていますが、御詠歌の扁額や石碑などはみつかりませんでした。

 以下は写してきた写真です。

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円蔵院門前より

▲この写真でチラッと見えている観音像のある建物は近年できたもので、以前はこの堂の手前、塀と門のかげに小堂があったということなんですが、気付かなかったというか、なかったと思います。いや、だんだん不安になってきたのであとで見てきます。

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門前の地蔵堂庚申塔も納められていた。
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地蔵堂
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円蔵院本堂
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地蔵密院と書かれたお賽銭箱。『江戸川区史』では神明山円蔵院延命寺とあるのでアレ?と思うのですが、事情はよくわかりません。

再訪

 数年前の情報では門のかげに大師堂があったということなので、再度確認に行ったのですが、やはりお堂はなくなっていました。>

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右側にあるのは地蔵堂庚申塔もある)で、門扉の後ろにかつては別のお堂があったらしいです。

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かつてのお堂のとなりに出来た新しいお堂。まんなかの像は観音様ですが、向かって左にお大師様の絵があるので、お堂自体は大師堂なのかもしれません。

 いずれにせよ南回り固有の扁額や石碑などはみつかりませんでした。

 あ、そうそう。円蔵院隣りの沖天祖神社も境内をくるっと見たんですが、札所関連のものはなさそうでした。ついでだから沖天祖神社の力石の写真も貼っときます。この日は天気がよすぎる上に、ちょうど朝日がガーっと当たってしまい、鳥居などの影が濃くて現地では文字があまり読めませんでした。写真はコントラストをすこしいじってあります。

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天祖神社境内の厳島神社。まわりに力石がいっぱい。
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ひときわ大きいものには名前がついてる。これは雲龍石。

▲この雲龍石には左下に「当村 花仙」という文字が見えます。

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花仙の部分。花の上にも文字があるかもしれないですが薄れてしまっています。

▲調べてみると、池田仙蔵とういう力持ちが木花仙(ぼっかせん)という四股名を持ってたそうなので、その人のことかもしれないです。

江戸川区のサイトにある力石に関するPDFファイル
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/9202/2-08.pdf

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大きい方は鬼丸石? 小さい方は…なんて書いてあるんだろう

▲わたしゃくずし字を読むのが人よりちょっとだけ得意なんですが、実は漢字が読めないお子様なので(変体仮名ならよめるもんっ)、あとで偉い人になんだっけこの文字って聞いときますねwww/twitterで聞いたら速効で力石の別名はさし石ですって返信がついて、いやーん、変体仮名で「さし石」じゃん、もうひらがなも読めてないっていうオモシロ展開!!

 だめだねこれは、ちゃんとお習字しないと。草双紙特有の書体には慣れてても、ちょっとおしゃれな書体になるととんと読めやしない。お爺ちゃんにもっとちゃんと書道を習うんだったかも(なんか母方の祖父が地元で有名な書道の先生だったかもしれないんですが、子供の頃価値がよくわかってなくてろくにお教室には通わなかったです)。

 …って、このブログは南葛八十八ヶ所という名前で二系統ある弘法大師霊場巡りに注目するサイトで力石はたまたま写しただけなんですけど、汗。

弘法大師 空海 密教