平井・善通寺
平井・善通寺は南葛「南回り」の第3番札所とされています。
【札所番号】
南回り:第三番
【所在地】
現在の地名 | 江戸川区平井1-25-38 |
【御詠歌(南回り03)】
【南回り次の札所】
第四番、浦安市堀江・東覚寺
# 『江戸・東京札所事典』では上記の寺をあげているが、浦安にはるのは「東学寺」である。また浦安エリアの札所は60番代にわりふられており、3番の平井とは明後日の方角であるため、おそらく『事典』の誤りであろう。詳しくは以下をお読みください。
「南回り」四番かもしれない浦安堀江・東学寺 - 二系統の南葛八十八ヶ所霊場
南回り四番の候補のひとつ亀戸・東覚寺 - 二系統の南葛八十八ヶ所霊場
当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。
「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。
平井・善通寺は南葛八十八ヶ所「南回り」の第三番札所とされていますが、南回り固有の扁額や石碑などはなさそうです。
善通寺ご本尊、蓮糸織曼荼羅の伝説
『江戸川区史』によれば、このお寺のご本尊は中将姫作とされる蓮糸織曼荼羅とのこと。
中将姫は聖武帝の時代の人で、16才で奈良の当麻寺(たいまでら)に入り念仏して暮らしていましたが、ある日謎の尼僧が現れて「極楽浄土を見たいのならば、蓮の茎から糸をとって布を織りなさい」と言いました。そこで尼僧と協力して蓮を集め、糸にして洗ったところ、たちまち五色に染まりました。そこへ一人の織り女が現れて一夜にして布を織り上げましたが、その布には美しい極楽浄土が描かれていました。尼僧と織り女はその後姿を消してしまいますが、その正体は阿弥陀様だと言われています。
この蓮糸織曼荼羅は今でも奈良の当麻寺にあるのですが、中将姫は残った糸で布を織り、如来の頭の部分に自分の髪の毛を織り込んでもうひとつの曼荼羅を作ったそうです。これを庵室に安置して念仏すると部屋の中に紫雲がたなびいたと言われています。後に千葉介常胤これを当麻寺から願い求めて護り本尊とし、代々伝えられたものが平井・善通寺のご本尊になりました。一般公開はされていないのですが、年に一度だけ信者さんに開帳されているということです。