二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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吹上(奥戸・善紹寺に遷座)

 南葛八十八ヶ所「いろは大師」の二十二番は、かつて小岩三丁目(旧上平井町)にあり「吹上」と呼ばれていたようです。現在は小岩三丁目ではなく、奥戸・善紹寺に遷座されています。



【札所番号】
いろは大師:第二十二番(那賀郡新田村大字荒田・平等寺の写)

【札所名】吹上

【所在地】

旧地名 葛飾区上平井町
現在の地名 葛飾区小岩三丁目

# 下町タイムス社の『江戸・東京札所事典』では「西新小岩3-34-1」としています。

【御詠歌(いろは大師22)】本尊薬師如来
びやうどうに へだてのなきと きくときは あらたのもしき ほとけとぞみる

【いろは大師、次の札所】
下小松町の番外へ十丁
# ↑この番外はおそらく現在の七十番福島地内



 

今昔マップより。左:大正時代・旧上平井町の地図/右:現在の地図

 南葛八十八ヶ所いろは大師の第二十二番は、大心講『御詠歌集』によれば旧地名で葛飾区上平井町、現在の地名では西新小岩三丁目となっています。この本は昭和54年版です。

 また、下町タイムス社の『江戸・東京札所事典』ではもうちょっと細かく 西新小岩3-34-1(三丁目34番地1号)としています。平成元年に出版された本です。

 上に貼った地図の青いポイントの場所がだいたい西新小岩3-34です。MapFanでみると、西新小岩の3-34には1号がないですね。たぶん道を広げるなどした時に消滅したんじゃないかと思います。

 念のためこの場所へ行き、3-34のまわりを歩いてみたのですが、やはり大師堂はありませんでした。現在は失われてしまった札所なのでしょう。

 札所名がただ「吹上」とあるので寺ではなく、路辺のお堂だった可能性が高く、昭和の末期までは存在したかもしれません。このあたりに昔から住んでる方で、第二十二番の台座に載せられた大師像をご覧になった事がある方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント欄で思い出を語っていただければと思います。

追記 2022年7月

 コメント欄でいただいた情報によると、吹上は廃所で大師像は 奥戸・善紹寺遷座されたとのこと(典拠不明)。善紹寺の開山堂内に番号のない大師像が2体おさめられているので、そのうちのどちらかが吹上にあったもの「かもしれません」。お寺に問い合わせるとかはしていません。

確認してきました

 奥戸・善紹寺の境内にて、第二十二番と刻まれた台座をみつけました。またその台座の脇面には「吹上」の文字も刻まれていますので、まちがいなく吹上のお大師様は善紹寺に遷座されています。

奥戸・善紹寺境内に保管されている 3つの台座。最上段の台座に「第二十二番」と刻まれている。
同・台座の向かって左脇面。最上段の台座に「字吹上」とある。

 大師像そのものは、善紹寺の開山堂ないにある台座のない大師像のどれかがそれだと思われます。詳しくは下記リンクより善紹寺について書いたページをご覧下さい。

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