二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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十念寺

【札所番号】
いろは大師:第二十五番(安芸郡室戸村大字室津・津寺の写)
南回り:第四十一番
未知の霊場めぐり:七十八番(道場寺=郷照寺の写)

【札所名】十念寺真言宗豊山派

【所在地】

旧地名 江戸川区上小
現在の地名 江戸川区北小岩5-32-5

【御詠歌(いろは大師)】
のりのふね いるかいづるか このつてら まようわがみを のせてたまへや

【御詠歌(未知の七十八番)】
おとりはね 念仏もうす どうせうじ ひやうしを そろへて 鐘をうつなり

【御詠歌(南回り41)】
 
【いろは大師、次への順路】
第五番の三十八丁堂へ十一丁半

【南回り、次の札所】
四十二番、南小岩円蔵寺
  

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南葛いろは大師第二十五番大師像
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南葛いろは大師第二十五番大師像(正面から)

 十念寺はいろは大師の二十五番、南回りの四十一番にあたります。ひとつ前の真光院から徒歩で10分くらい。『御詠歌』の順路によると真光寺から十一丁とあるのですが、実際には五丁くらいしかないです。どちらかの寺が移動したか、迂回しなければならない川でもあったんでしょうか。

 南葛いろは大師の像は石像で第二十五番の台座に載せられています。古いお堂はもうなくて、高い石の台と屋根だけの新しいお堂に納められています。以前置かれていた場所の汚れでしょうか、番号の台座の下が黒くなっていました。

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十念寺の新しい大師堂
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新しい大師堂の堂内
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堂内に置かれた御詠歌の板は「南回り」のもの?

 十念寺には新しい大師堂もあり、お大師様の立派な像もあります。堂内に御詠歌の書かれた古い板がありますが「四国霊場第七十八番/讃岐国道場写/十念寺/(以下御詠歌)おとりはね 念仏もうす どうせうじ ひやうしを そろへて 鐘をうつなり」とあります。たぶん浄光院にあるのと同じシリーズです。

 ただ、この七十八番が何の札所なのかはわからない。最初は南葛南回りのものかとも思ったのですが、南回りの番号は四十一番です。この札所番号はオリジナルの四国八十八ヶ所のお寺の番号と対応しているでしょうから、七十八番の御詠歌が書かれているのはおかしいです。

 つまり、十念寺は南葛いろは大師でも、南葛南回りでもない、さらに未知の大師巡りの札所でもあるってことですね…!

 残念ながら刻まれた年号も書かれていませんので、今のところ未知の霊場めぐりが存在していたとしかわかりません。

 謎の七十八番については医王寺の項目も読んでください。

弘法大師 空海 密教