二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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浄光院

【札所番号】
いろは大師:第十四番(名東郡国分村大字延命・常楽寺の写)
#( )内は『御詠歌集』に従っています。名東郡の村は「国府村」だそうです。

南回り:第五十五番
未知の霊場めぐり:七十六番(金倉寺の写)

【札所名】浄光院(真言宗豊山派

【所在地】

旧地名 葛飾区鎌倉町
現在の地名 葛飾区鎌倉1-31-4

【御詠歌(いろは大師)】
じやうらくの きしにはいつか いたるらん ぐせいのふねに のりおくれずば

【御詠歌(未知の七十六番)】
まことにも しんふつそうを ひらくれは しんこんかしの ふしきなりけり

【いろは大師、次への順路】
十三番の大珠院へ三丁
 
 

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浄光院の本堂と大師堂
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浄光院大師堂
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堂内に掲示された御詠歌の板。「いろは大師」「南回り」ともに番号が違う。

 ひとつ前の十九番前西(まいにし)から徒歩5分くらい。ここは南葛南回りの五十五番札所でもあります。『葛飾区史』によれば、浄光院は長く住職のいない寺だったようですが、昭和のいつごろかに本堂を建て直して今日に至るとのことです。

 大師堂もコンクリート製で本堂の前にあります。堂内には石の大師像が一体、第十四番の台座に載せられています。お堂にも「南葛八十八ヶ所第十四番」と札が掲示されています。この番号はいろは大師の札所番号です。

 ところで、堂内に御詠歌が刻まれた板(正しい用語がわからないのですが、額縁仕立てでなくても扁額と言うべきでしょうか)があり、「四国霊場第七十六番/讃岐国金倉寺写/浄光院/(以下御詠歌)」とあります。

 わたしが持っている南葛いろは大師の資料は、この札所をお世話していた大心講の本拠地(と言っていいのかな)である善紹寺が昭和の中ごろに発行した『御詠歌集』なのですが、この本ではこの札所は「名東郡国分村大字延命・常楽寺の写」とあり、ぜんぜん別の寺なんですよね。

 「南葛南回り」の痕跡かな、とも思ったのですが、南回りの札所番号は五十五番なので一致しないのです。まったく同じ形式で七十八番の御詠歌が刻まれた板が十念寺にもあります。残念なことに奉納された日付も講の名前も刻まれていないので、今のところ何の札所だったのかはまったくわかりません。
 
 謎の七十六番については医王寺の項目も読んでください。
 

弘法大師 空海 密教