二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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東葛西・真蔵院

 東葛西・真蔵院は南葛「南回り」第十三番札所とされています。


【札所番号】
南回り:第十三番

謎(葛西):第十三番

【札所名】真蔵院(真言宗豊山派

【所在地】

旧番地等 江戸川区葛西1-1457
現在の地名 江戸川区4-38-9

# 旧番地等は昭和51年版の『江戸川区史』に載っている所在地です。

【御詠歌(南回り14)】

【南回り次の札所】
第十四番、東葛西・自性院


当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。

「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。



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真蔵院本堂
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左奥が地蔵堂、真ん中が大師堂、右端の石灯籠の向こうに見える石柱は道標

 道標は文政元年(1818年)に作られたもので、もとは東葛西1-48-16先の新川河口南岸の路辺にあったもので、新川の曳舟(川岸から人が引いた船)のとも綱をかけたあとが残っていると傍らの解説板にありました。平成3年(1991年)4月に倒壊したため修復して真蔵院境内に移されたとのこと。

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大師堂内の大師像「新四国 第十三番」
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台座向かって右面(造立年等を調べるため、スマホを差し込んでシャッターを切っています)

 小堂内の大師像は昭和八年造立のもので、近隣のお寺にあるのと同じ組みのものです。当ブログで南葛「南回り」と呼んでいる霊場巡りも真蔵院の番号は第十三番なのですが、これはたまたま一致しただけだと思われます。>
謎の札所(葛西〜船堀地区に集中)のリスト - 二系統の南葛八十八ヶ所霊場


 「南回り」は明治43年ごろの開創で、固有の大師像はほとんどありません。ゆかりのものが残っているとしたら「東京弘山講」の名前が入った御詠歌の扁額か石碑の類いです。

 というわけで、こちらのお寺にも南回り固有のものはありませんでした。

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波切不動→雷不動、伝説と祭

 真蔵院のご本尊様は不動明王で地元の漁師さんなどの信仰が厚く、もとは波切不動と呼ばれていました。このあたりには雷の害も多かったらしく、後に雷不動(いかづちふどう、いかずちふどう)と呼ばれるようになり、地名も江戸時代のいつごろかに雷(いかづち)に変わりました。現在の地名は東葛西一丁目です。となりには雷香取神社もあります。以下はわたしのツイートより。

弘法大師 空海 密教