二系統の南葛八十八ヶ所霊場

旧南葛飾郡に開かれた二系統の南葛八十八ヶ所を実際に回っています。

見分け方早分かり
いろは大師(北回り)|大心講|大正14年|一番は奥戸・善紹寺
南回り|弘山講|明治43年ごろ|一番は東小松川・善照寺
「名称について」も読む

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東葛西・正円寺(正圓寺)

 東葛西・正円寺(正圓寺)は、南葛「南回り」の第十八番札所とされています。また、何に属するかよくわからない十九番でもあります。


【札所番号】
南回り:第十八番

謎(葛西):第十九番

【札所名】正円寺(新義真言宗

【所在地】

旧番地等 江戸川区長島町102
現在の地名 江戸川区東葛西3-4-22

# 旧番地等は昭和51年版の『江戸川区史』に載っている所在地です。

【御詠歌(南回り18)】

【南回り次の札所】
第十九番、押上・正観寺
# 『江戸・東京札所事典』では19番を押上の正観寺とするが、押上は葛西エリアからはるか離れている上、20番で再び葛西エリアに戻ることになり不自然である。19番は東葛西のどこかにかつてあった寺か念仏堂のようなものだったのではないかと思われる。


当ブログは二系統の南葛八十八ヶ所めぐりに注目して札所となっているお寺や神社を参拝しています。

「南回り」「いろは大師」という呼称については目次のページをご覧ください。


 東葛西・正円寺(正圓寺)は、南葛八十八ヶ所「南回り」の第十八番札所とされています。境内に大師堂がありますが、残念ながら南回り固有のものはありませんでした。別の番号が刻まれた大師像が納められていましたが、これは近隣のお寺にあるのと同じシリーズで、別の霊場巡りのものです。

 とりあえず境内などの写真を貼ります。

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正円寺門前より
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左手前、稲荷社。中央奥は鐘楼。鐘楼の下に六地蔵堂のようなものがなぜか二つあるので…
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片方は六地蔵じゃなく、六観音だった!

▲右から、千手観音、聖観音、十一面観音、准胝観音如意輪観音馬頭観音、かなあ。

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六観音堂のおとなりは六地蔵堂でした。
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文三年の庚申塔江戸川区有形文化財になってるそうです。
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庚申塔の隣りに大師堂。軒下の扁額は「南無大師遍照金剛」
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お堂の中にある十九番の大師像。南回りは十八番なので別の霊場巡りです。

▲お堂の中には大きなお大師様の像が一体と、その傍らに石のお大師様があり、台座には「新四国弘法大師 第拾九番」と刻まれています。デザインからし東葛西東善寺など、近隣のお寺にあるのと同じシリーズなので、昭和初期に作られたものだと思います。>謎の札所(葛西〜船堀地区に集中)のリスト - 二系統の南葛八十八ヶ所霊場

 当ブログで注目している南葛八十八ヶ所南回りのものならば番号は「十八(拾八)番」ですし、開創されたのは明治43年です。お堂の中をガラス越しに拝見したところ、南回り固有のものはありませんでした。もし何か残っているとしたら「東京弘山講」の文字と札所番号に対応したご詠歌が刻まれた扁額などがあるはずです。

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正円寺本堂。ご本尊様は地蔵菩薩だそうです。
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本堂に向かって参道左わきにあるお地蔵様。

 というわけで、こちらのお寺にも「南回り」固有のものはありませんでした。

弘法大師 空海 密教